【FUNERAL FOR A FRIEND解説】:激情の咆哮と叙情の旋律の美しい邂逅
フューネラル・フォー・ア・フレンド(以下FFAF)は、2000年代のエモ/ポストハードコアシーンを代表するバンドの一つ。激情的なシャウトと美しいメロディが交錯する彼らの楽曲は、単なるラウドな音楽にとどまらず、内省的な歌詞やドラマティックな展開が特徴的です。
音楽の世界には、時代を超えて愛される名曲が数多く存在します。しかし、「どの曲から聴けばいいのか?」「アーティストの代表曲は?」と迷うこともあるでしょう。そんなあなたのために、FFAFの中でも特に胸に刺さる7曲を、独断と偏見によるカウントダウン形式でご紹介します!初心者でも楽しめる決定版プレイリストをお届けします!
OVERVIEW of the BAND

交錯する激情と叙情の誕生
FFAFは、2001年に解散したJANUARY THIRSTのメンバーを中心に、2002年にイギリス・ウェールズで結成。エモーショナルで感傷的なメロディと、ポストハードコアの激しさが混ざり合い、化学反応を起こしたようなサウンドです。2000年代中盤にはエモ/スクリーモシーンを牽引する最重要バンドになりました。
衝撃的なデビューから解散、そして再結成へ
2003年に1stフルアルバム「Casually Dressed & Deep in Conversation」をリリース、ここで一気にブレイクします。エモ/ポストハードコアの傑作として名高く、絶大な支持を得ることになります。感情を爆発させる激しいデス・シャウト、そしてエモーショナルなクリーン・ボーカルの、メロディの美しさの対比が際立っていました。ここではやくも、バンドとしてのサウンドのアイデンティティは確立されていました。
続く、2005年には2ndアルバム「Hours」をリリース。よりシンプルでストレートなサウンドは洗練され、前作のエモ/ポストハードコア色を抑えながらも、メロディアスな側面はさらに叙情性を増して進化しました。その後は、メンバーの交代や音楽性の変化を実験的に繰り返しながら、活動を継続。初期のエネルギッシュな要素が復活する一方で、バンドは2015年に解散を発表しました。しかし、2019年には再結成を果たし、現在もライブ活動を行っています。

BAND INFORMATION FUNERAL FOR A FRIEND
- 【ジャンル】ポスト・ハードコア、スクリーモ
- 【出身】イギリス・ウェールズ
- 【活動期間】2002年〜2016年、2019年~現在
- 【バンド・メンバー】
- Matthew Davies Kreye(Vo)
- Ryan Richards(Dr, Vo)
- Kris Koombs Roberts(Gt)
- Gavin Burrough(Gt)
- Richard Boucher(Ba)
- 【ALBUM DISCOGRAPHY】
- CASUALLY DRESSED & DEEP IN CONVERSATION(2003)
- HOURS(2005)
- TALES DON’T TELL THEMSELVES(2007)
- MEMORY AND HUMANITY(2008)
- WELCOME HOME ARMAGDDON(2011)
- CONDUIT(2013)
- CHAPTER AND VERSE(2015)
BEST 7 RANKINGS

第7位:Escape Artists Never Die
FFAFのサウンドを象徴する楽曲でしょう、そこには激情と切なさの調和が見事であるからです。攻撃的なまでのギターと、叙情的なメロディと、すべてがそこにはあります。
第6位:History
壮大なドラマチックなバラード調の展開が特徴。エモ/ポストハードコアながらも美しいメロディが光る、FFAFの楽曲の中でも感動的な楽曲です。
第5位:The Diary
エモ/ポストハードコア・スタイルの激情感に、得意のエモーショナルなメロディを融合、さらに女性ボーカルとの異色のコラボによって、新たな深みを与えています。
第4位:Streetcar
イントロの電話の発信音が印象的な、FFAFのキャリアの中でも最もキャッチーな楽曲。イントロのギターも印象的で、エネルギッシュなサウンドと胸に迫るメロディが切なくも、美しさもあります。
第3位:Juneau
初期FFAFを象徴する代表曲であり、そのシーンを代表するアンセムソングです。FFAFが生み出す特有の切なさは、エモーショナルな楽曲の中でも最高峰といえます。ポストハードコア的な激しさも見事に融合しており、今でも根強い人気を誇ります。
第2位:All the Rage
パンチの効いたイントロから鳥肌ものの、一気に聞き手を引きこむキラーチューン。攻撃的なサウンドとメロディのバランスが完璧で、バンドの持ち味がいかんなく発揮されています。ボーカルもギターリフも、ともにシンガロングできるメロディで、エモーショナル感は極上な仕上がりです。
第1位:Roses for the Dead
シンガロング必至のフックと、エモーショナルなリフが印象的なFFAFの中でも屈指の名曲です。バンドの楽曲の中でも、最も叙情的でセンチメンタルな作品の一つ。この曲を彩る深い悲しみと美しさの同居には、筆舌に尽くしがたいほどの完成度があります。
BEST ALBUM 3

Casually Dressed & Deep in Conversation(2003)
その名を世界に知らしめた超名盤であり、代表作にして、エモ/ポストハードコアの金字塔的アルバム。激情的なボーカルと叙情的なメロディが特徴で、ポストハードコアの荒々しさとエモーショナルなメロディの繊細さが見事に共存しています。
Rookie of the Year
バンドの初期の魅力が存分に詰まった楽曲。パンク的な疾走感あふれるアプローチは、ライブでも盛り上がるナンバーです。
Storytelling
FFAFの初期の魅力が詰まったエモ/ポストハードコアの佳作です。疾走感のあるドラムと、攻撃的なギターリフが炸裂し、ボーカルはシャウトとクリーンのバランスが絶妙です。
Your Revolution Is a Joke
個人的に最も好きな一曲で、ボーカル主体の異色バラードです。そのタイトルが示すように皮肉や冷ややかな視点がかえって、もの悲しい感じを演出させるのには十分です。
Hours(2005)
バンドの人気を決定づけた超名作。エモーショナルなメロディはここで、はやくも最高傑作を迎えます。コアなラウド系リスナーだけでなく、幅広い層にアピールできる作品です。デビュー作よりも洗練されたアレンジとなり、よりメロディアスでシンプルなロック寄りの楽曲が増えました。
Monster
2ndの中でも、初期の激情型のスタイルを色濃く残した楽曲といえます。ポストハードコア的なアプローチを思わせるヘヴィなギターリフが炸裂。スクリーモ的なアグレッシブさとはまた別の、ヘヴィネスさと攻撃性を感じます。
Recovery
そのタイトルの名の示す「再生」を想起させるバラード調の楽曲であり、メロディアスなギターが印象的です。FFAFは個人的な苦悩や喪失感を描くリリックに、エモーショナルなメロディをのせる稀有なセンスがあります。
The End of Nothing
1stと比べれば、そのサウンドの爆発力は落ち着いたものの、とても重厚感のあるギターリフには、また別の緊張感が張り詰めたように感じます。やはり、ここにも叙情メロディが散りばめられています。
Tales Don’t Tell Themselves(2007)
より壮大なサウンドを取り入れたアルバム。物語性を重視したコンセプトアルバムとしての流れがあり、バンドの新たな試みが見られます。これまでのエモ/ポストハードコア路線から一転して、壮大なスケールのあるアルバムに仕上がりました。
Into Oblivion (Reunion)
エモ/ポストハードコアという枠を越えて、より洗練したサウンドを目指した形がここにあります。アグレッシブなサウンドは消え、よりポップなメロディが強調される楽曲になりました。
The Great Wide Open
映画的な展開を思わせる、壮大なスケール感なサウンドスケープが魅力です。海をテーマにした、コンセプト・アルバムのテーマ性が色濃く反映されています。
Walk Away
物語性が強く、ドラマティックに終わりを締めくくるにはふさわしい、とてもメロディアスなバラードです。ポストハードコアな攻撃的サウンドから、よりポップス寄りのメロディにシフトしたことを象徴する楽曲。
HIDDEN MASTERPIECE

Welcome Home Armageddon(2011)
初期の激情型ポストハードコア・スタイルへの回帰となる作品です。さらに楽曲の完成度は高まり、ギターリフの構成や楽曲の展開はより洗練されました。初期のFFAFファンにとっては、まさに「待望の復活」といえるでしょう。
Sixteen
ポップパンク的なアプローチを感じる、とても感傷的でシンプルなサウンドが秀逸。何よりも、エモーショナルなメロディはさすがFFAFといったところです。
Broken Foundation
激情なるサウンドを取り戻した、狂える咆哮とクリーンなボーカルとのコントラストがとても印象的。初期の時代を彷彿とさせる攻撃的な一曲です。
CONCLUSION
FFAFは、エモ/ポストハードコアの黄金時代を支えた再重要バンドの一つといえます。そのスタイルをすでに確立していた、初期の「Casually Dressed & Deep in Conversation」や「Hours」は特に個人的にもおすすめな名盤で、エモ/スクリーモ系のバンドを語る上では欠かせません。まだあまり聴いたことがない人も、この機会にぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
これからも音楽レビューを通じて、さまざまな作品に触れることで、自分自身が作る楽曲にも新たな一面が反映できればと思っています。興味があればぜひ覗いてみていただけると幸いです。
コメント